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四国新聞 ポリ製取っ手で首位-生産性向上へ自動化徹底

1999.09.23
  • メディア

(1999年9月23日 四国新聞 拝見!さぬきの企業75)

紙袋やビール缶用ホルダーなどに使われるポリエチレン製の取っ手。善通寺市上吉田町の松浦産業(松浦公之社長)は、徹底した自動化で生産性を向上させ、後発ながら7割のシェアを誇る国内トップメーカーだ。

昭和7年創業の松浦農具を前身にイ草ワラを使ったロープを手掛けていた同社は昭和40年ごろから、梱包用や紙袋の取っ手となるプラスチック製ロープの製造に着手した。

主力商品のポリエチレン製取っ手の製造に乗り出したきっかけは、昭和50年ごろ、松浦社長が空港で目にした光景だった。手荷物受取所で流れてくる荷物をなにげなく見ていると、紙袋の取っ手がプラスチック製ロープに代わり、ポリエチレン製が目立つことに気が付いた。同社長は「数ヶ月のうちに変化を実感し、ポリエチレン製への参入を決意した」と振り返る。

同社は、取っ手の特許契約を持ちながら休業状態にあった東京のメーカーの下請けになることで、61年から本格的な製造に乗り出した。

当時すでに3社がポリエチレン製取っ手を製造していたが、「後発だっただけに、高品質、低価格の商品を目指した」(同社長)。他社が手作業に頼っていた工程を自動で行える製造ラインを従来機の1.5倍の約4500万円で導入。1日当たりの生産能力は、他社の5万本を大きく上回る8万本。価格も1本4円から3円60銭に引き下げた。「年商1億円の商品に5000万円の投資を惜しまない」とする大胆な先行投資が同社を業界トップに押し上げた。

現在では、プラスチック製ロープ、ポリエチレン製取っ手「ハッピータッグ」のほか、ビール缶6缶を持ち運べる「カンタッパー」、段ボールなどに貼り付ける取っ手「タックハンドル」など、商品のバリエーションも増えた。

カンタッパーやタックハンドルなどが国内トップのシェアを誇る一方、ニーズに応じた改良品を開発。カンタッパーは平成9年の「日本パッケージコンテスト」で入賞。タックハンドルの新商品は前年比30%増の成長を続けている。

ここ数年、顧客の多様化するニーズに対応しきれず、撤退するメーカーも多い。同社は「他社のすき間に入り込む商品開発」(同社長)に力を入れ、6年には東京に拠点を設け、至上の流れや顧客の要望を細かくチェックし、製品開発に反映させている。

厳しい時代を生き抜くため、同社は最大の強みである「品質の安定した安価な商品の迅速な提供」を徹底しようと、来春には品質保証に関する国際規格「ISO(国際標準化機構)9001」の取得を目指している。

11年7月期の売上はほぼ横ばいの18億円。同社長は「今後、これまでのような事業拡大の計画はない」としながらも、「チャンスはいつ巡ってくるか分からない。それを逃さないために技術力を強化しておきたい」とさらなる飛躍を目指している。